太陽と下着の見える町アーカイブ

12月20日(日)にF/TステーションでF/T09秋劇評コンペ優秀賞発表・講評会が行われました。
受賞者の皆様、おめでとうございます!


<優秀賞受賞作品>

柴田隆子氏 美しい静寂の地獄絵図 ―『神曲―地獄篇』 

堀切克洋氏 「本物」はどこにあるのか――『Cargo Tokyo-Yokohama』評

百田知弘氏 『あの人の世界』 劇評


追って審査員の皆様からの各作品・全体についてのご講評をアップいたします。
どうぞお楽しみに!

 観る前からこんなに盛り上がった芝居は、これまでなかったのではないか? 多分、これからもないような気がする。
 配布されたチラシには、『究極のパンチラを求めるスペクタクル!』とある。劇団が作成したチラシゆえ、多少の誇張はあろうが、しっかり文字としてこう印刷されているのだから、これは証拠物件意外の何物でもない。
 果たしてパンツは見えるのか? 見えないのか? これは世の男どもにとっては、何にも増して最重要項目である。世界の核の削減などという半ば夢物語などより、こっちの方がよっぽどリアリティのある命題に違いない。それを否定する者を、私は金輪際信用しない。
 パンツが見たい! そのことに限って言えば、世界の男どもは、人種も宗教も超越して、すでに一つだ。

狂気、あるいは狂気に近いものは異常であるから舞台には向いている。舞台は日常のふりをした異常だからだ。そういうとちょっと失礼だが狂気を使っ て上手に演出すると、いろいろな社会の断片が見えてくる。ブルックは、『The Man Who』(原作『妻と帽子と間違えた男』)で、精神病院という制度と、医者と患者の関係を描きながら社会を描いて見せた。患者と医者と制度と社会...。言え ばミッシェル・フーコーの『狂気の歴史』だろう。