フェスティバル/トーキョー 特集

『Cargo Tokyo-Yokohama』リサーチ日記(抜粋)

いよいよ荷台を客席に改造したあのトラックが上陸した『Cargo Tokyo-Yokohama』。

演出家、イェルク・カレンバウアーがに2009年5月31日〜6月13日にかけて来日し、『Cargo Tokyo-Yokohama』ルートのリサーチ、トラック運転手の選考、トラック業界や物流に関係する様々な組織や民間企業へのヒアリングを行いました。
長時間を車の中で過ごし、埠頭や高速道路を走りながら、コンテナヤード、トラックパーキング、運転手の食堂、市場等などをリサーチ、『Cargo Tokyo-Yokohama』のルートを決めていく、リサーチ日記(抜粋)を公開!

※『Cargo Tokyo-Yokohama』公演の詳細情報をお待ちいただいておりますが、
現在、車両走行の諸手続きのためにお時間を頂いております。
公演詳細については11月中旬までにアナウンスを行い、開催の場合は、
11月下旬からF/T09秋会期終了(12月21日)までの公演を予定しております。

6月1日 / 横浜
初めての横浜のリサーチ。まずは大黒埠頭で横浜港流通センターを発見! 数階建ての倉庫は海外にないらしいので、イェルクは興奮する。スパイラル型のランプを嬉しそうに何回も6階の屋上まで上がったり、下っていったりする。たが、『Cargo』で使うトラックは結構ベテランのトラック。ここを上がって行けるかどうか......。

6月2日 / 横浜
本牧埠頭の食堂で休憩しているトラックドライバーに大型トラック洗車機の場所を聞くと、近くのガソリンスタンドにあると教えてくれる。だが、ちょっと小さく見える。ドイツから持ってくるVOLVOトラックはこれに入るのかな?
ガソリンスタンドの店員に聞いてみたところ、洗車機の高さは3.98m。VOLVOトラックは空気サスペンションによって3.80m〜4.00mと高さが変わる。微妙......。

6月3日 / 東京
品川の近くにある物流博物館を訪問、見学。デコトラの雑誌、60年代の運送会社のPR映像や東京都の物流拠点の模型等、色々面白い資料がおいてある。イェルクの関心を引いたのは、特にデコトラと日本通運で行われている体操の話。
午後、東京の下見ツアーに出発。品川埠頭から大井埠頭、平和島、京浜島を回っていく。京浜島のトラックターミナルではトラックが活発に動いていて、訪問地としてよさそう。ツアーの途中、不思議なところも色々発見。

6月4日 / 横浜
横浜市港湾局に本牧埠頭と大黒埠頭の立ち入り制限区域を案内してもらう。見せてもらったのは国際コンテナーターミナル、車両ターミナルセンター、横浜流通センター等。

6月5日 / 東京
日本通運のスタッフに仕事の内容や現状についてヒアリング。日本通運版の体操についても確認。やっているかどうかを尋ねるとあまり真面目にやっていないそうだ。時代が変わりつつある。

6月8日 / 横浜
トラックドライバーの面接。初日は4人。日本の運送業界が不況であることが皆さんの話で直ぐに分かる。例えば運送会社に勤めていてもその会社から今一切仕事をもらえていなくて、収入がゼロの人。また外国人のドライバーで、現在は失業中の人。やはり不況の影響で、まず初めにクビになるのはやはり外国人。今まで走っていたルートや運んでいた荷物、ドライバーの日常を色々聞けたことに加えて、現在の経済状況を実感できたことも収穫。

6月9日 / 東京 
東京都トラック協会への取材。日本のトラック輸送産業についての立派な資料をもらう。運送業の競争が最近激化をしていることを知る。需要は伸びていないが、毎年2,000〜2,500社が参入している。小規模な会社が多く必死な競争が続いているらしい。
午後、全日本運輸産業労働組合連合会に取材。トラック事故の原因、トラックドライバーの労働条件についてなかなか表に出ない情報を得られる。

6月10日 / 横浜
ドライバー面接第二部。応募してきたドライバーの中に、フォークリフトのベテランで、若いドライバー達を教えている方がいた。今回はトラックドライバーだけではなく、フォークリフト運転手にも出演してもらうか?

6月11日 / 横浜
改めて横浜市港湾局と下見ツアー。その途中で横浜流通センターの方と面会。「演劇とは何か」という根本的な議論が始まる。今回の作品ではトラックが「劇場」で、客席から観る芝居は「現実」? 職員の中に、『Cargo Tokyo-Yokohama』に非常に興味を持ち、演出を手伝ってくれそうなくらいアイディアに溢れた方がいた。

6月13日 イェルク・カレンバウアー帰国。