演出ノート

「磁場」について考えています。
人間同士の間にも、人間と物の間にも、空間と物の間にも、人間の記憶と物の間にも、それぞれが引き合う力と反発する力のようなものがあって、
それらの力がひしめき合う「磁場」があるのではないか?という仮定です。
これは私の思いこみかもしれません。
しかし、この思い込みこそが私にとって「物語」であり、俳優や観客と共有したい部分なのです。

人間を基点にすることなく、「磁場(=物語)」発生装置を作ることができるか?

これが演出の意図です。

水を飲むのではなく、水が人を飲まさせる。
イスに座るのではなく、イスが人を座らせる。
足が私(誰?)を裏切ってその場にとどまらせる。
過去が現在を導くのではなく、現在が過去を塗り替える。
台詞が心理を捏造する。

「磁場(=物語)」を見出すために何ができるでしょうか?
シンプルに緻密に大胆に作ります。