【クルーレポート】ポストパフォーマンストーク デッド・キャット・バウンス演出家×出演者

舞台と観客が一体になりリアルタイムの株式市場にダイブする、新しい演劇体験『デッド・キャット・バウンス』。このスリリングな舞台を作っているスタッフの声を聞くポスト・パフォーマンストークが11月25日に行われました。演出家を含めて出演者が勢ぞろいし、お客様からの質問もたくさんいただき、舞台の興奮冷めやらぬ熱いトークでした!早速レポートいたします。

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(立っているのが近藤強さん。そこから順に右へ川畑陽子さん、クリスティアーネ・キュールさん、演出家クリス・コンデックさん、ヴィクトル・E・モラレス(ビクター)さん。)
翻訳・字幕スタッフの岸本佳子さんの進行によって、Q&A形式でトークは進みました。

Q.どうして株取引をテーマに演劇を作ろうと思ったんですか?
A.クリスさん「自分が株をやってみたことがあって、5分おきにパソコンの画面を見に行かなきゃ落ち着かないくらい中毒になってしまったんだ。それでこのドキドキがまさに演劇的なのではないかと思いつき、この観客体験型演劇を作りました。」

Q.即興の要素がとても強い舞台ですが、世界各地で上演してきて、何かハプニングはありましたか?
A.クリスさん「劇自体が予想できない、ハプニングそのものだよ。(笑)どんな結果になるか役者にもわからない。」
クリスティアーネさん「演じていて難しいのは、市場の変化のどこに反応すべきでどこに反応すべきでないのか判断することですね。起きていること全てに反応してしまうと情報量が多すぎるから。」
クリスさん「そうそう、ドイツのある町で公演した時、人がつまづいてインターネットケーブルが切れちゃったんだ!あれは悪夢だったね。」

Q.今回の日本版は今まで他の国で上演してきたものと何か違うところがありますか?
A.クリスさん「現地の俳優を使ったのは初めてです。」
ビクターさん「利用する証券取引所も違うね。前回利用したNY証券取引所は世界最大なので株の動きが多い。あと個人的には英ポンドより米ドルの方が感覚的に掴みやすい。」
クリスティアーネさん「日本人のお客さんは大人しいのではないかと思っていたけれど、今日までの毎公演で手を挙げて株を買ってくれるお客さんがいてうれしいですね。しかも個人で買った皆さんが儲かっているし。」
クリスさん「確かにお客さんの反応が違うことが面白いね。イスラエルでは皆さんすごく熱狂したし、ワルシャワのお客さんから『お金は寄付しましょう』と提案されたこともあった。(笑)」
アレックスさん「今日の公演では損をして終わったけど、その方がある意味ではいいかもね。この劇で味を占めて、株に手を出して失敗する人がいるかもしれないからね。」

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(右から2番目がアレクサンダー・シュレーダ(アレックス)さん。背景に映っているのがデッド・キャット・バウンスの図です。)

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(一番左からシモン・ヴェルスネルさん、翻訳の岸本佳子さん)

Q.出演者の皆さん、個人的には株をやっているんですか?
A.クリスさん「さっき言ったとおり、僕は少しやったことがある。」
他の人はNO。
シモンさん「僕は自分のものにお金を全部使いたいから株には使わないよ。これは来日してから買った腕時計で、オバマ大統領の顔がついていてお気に入りなんだ。」(スクリーンに映して見せる。一同笑。)

それから観客の皆さんからの質問です。
Q.劇を盛り上げるために、何か工夫や操作をしているんですか?最初はひょっとして下がりそうな株を買ったんですか?
A.クリスさん「そうですね、取引する会社の説明は最初の数社だけで、あとは敢えてしないようにしています。情報があり過ぎてもおもしろくないので。最初の株は上がりそうなのを買っていますよ。ただ、変動が大きい株を選ぶようにしています。」


Q.株とパフォーマンスの融合、おもしろかったです。上演してみて何か発見はありましたか?
クリスさん「経済学者に取材しに行ったことは勉強になりました。」
クリスティアーネさん「『performance』という言葉には、演技という意味と、業績・売上・成績という意味があります。そのどちらの言葉にも『貪欲さ』や『愛』という共通点がある、と演じてみて気付きました。」

以上、一部ではありますがトークの模様をお伝えしました。
資本主義が私たちの生活の隅々まで浸透し、日々お金のことを考えながら生きている現代人。トークの最後に「お金が私達に決断を迫ってくる」とクリスさんの言葉がありました。お金との付き合い方を考えてしまうような、示唆に富んだ舞台だったと思います。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!

広報クルー I