雲。家。
プロフィール 雲。家。 構成・演出:高山明 (Port B)

構成・演出:高山明 Akira Takayama

1969年生まれ。1994年より渡欧。演出助手として研鑽を重ね、多数の舞台、オペラ等に携わりながら演出・戯曲執筆を行う。帰国後2002年ユニットPort B(ポルト・ビー)を結成。演劇を専門としない表現者たちとの共同作業によって、既存の演劇の枠組を超えた前衛的な作品を次々と発表。創作の拠点「にしすがも創造舎」がある池袋・巣鴨一体では、サンシャイン60が象徴する日本戦後史を巡る3部作として、舞台作品『雲。家。』、ツアーパフォーマンス『サンシャイン62』、演劇的インスタレーション『荒地』を発表し、演劇界のみならず現代アートの文脈からも大きな注目を集めた。現実の都市や社会に存在する記憶や風景、メディアなどを引用し再構成しながら作品化する手法は、「来るべきもの」としての現代演劇の可能性を提示する試みとして、国内はもとより海外のフェスティバルや美術展でも大きな注目と期待を集めている。

Port B(ポルト・ビー)
http://portb.net/

2002年東京にて結成。高山明がドイツで培った演出メソッドを叩き台に、演劇以外の活動に携わるアーティストや職人を中心に演劇的実験を繰り返す。
活動は多岐にわたる。「演劇(的)テクスト」に取り組んだ舞台には、ブレヒトの第一詩集『家庭用説教集』を素材とした『シアターΧ・ブレヒト演劇祭における10月1日/2日の約1時間20分』(03年)、H.ミュラー『ホラティ人』(05年)、E.シュレーフ『ニーチェ』(06年)、E.イェリネク『雲。家。』(07年)がある。
他方、高島平をフィールドワークし団地で暮らす人達を舞台に招き入れた『Museum: Zero Hour 〜J.L.ボルヘスと都市の記憶〜』(04年)や、隅田川をフィールドワークした成果と謡曲『隅田川』をクロスさせた『Re:Re:Re:place 〜隅田川と古隅田川の行方(不明)〜』(05年)はドキュメンタリー性の強い舞台である。
近年は更に、実際の都市をインスタレーション化する“ツアー・パフォーマンス”なるものを企画。「おばあちゃんの原宿」巣鴨地蔵通りを舞台にした『一方通行路』(06年)、東京観光の代名詞はとバスを使った『東京/オリンピック』(07年)、池袋サンシャイン60の周囲を5人一組の参加者が巡った『サンシャイン62』(08年)は、各種メディアに取り上げられるなど好評を博した。
また、“演劇的インスタレーション”と称される作品の系譜に、旧豊島区立中央図書館における『荒地』(08年)、旧ソウル駅駅舎を使った『東西南北』(08年)、茨城県取手市井野団地での『団地大図鑑』(08年)があり、これらは現代美術の領域においても注目を集めた。
いずれの活動においても「演劇とは何か」という問いが根底にあり、「きたるべきもの」としての現代演劇を追求している。