[特別収録]インタビュー:アミール・レザ・コヘスタニ

11月3日(土)に二回公演を終えた、メヘル・シアター・グループ『1月8日、君はどこにいたのか?』。4日(日)14時の千秋楽前に、演出家アミール・レザ・コヘスタニさんに東京公演への思いについて語って頂きました!
どんな質問をしても丁寧に解りやすく、ときに笑いを加えながら答えてくれるコヘスタニさんの魅力的なトークは、千秋楽『1月8日、君はどこにいたのか?』終演後、16時から開催される関連プログラムF/Tユニバーシティにて再び開催されます。
公演は当日券もまだ余裕がございますので、奮ってご参加下さい!

pre_talk_amir.JPG

ポスト・パフォーマンストークで、コヘスタニさんは、イランでの検閲について触れながら、どんな国にも存在する目に見えない検閲の存在に鋭く言及しました。表現の規制がありながら、それでもこの作品で表現したかったものは何でしたか?

ー正直、この舞台はイランの観客にも難しいと思っていました。この作品を作った当時、イランでは暴動や抵抗運動があって、その応答(リスポンス)として作ったけれども、あまりいろいろオープンに表現することはできませんでした。はっきりと表現できない。だから、言いたいことを台詞にばらまいたのです。結果として、携帯、警察、地位、銃といった言葉がでてきた。それら自体が応答そのものだったのです。

今、実際に日本でこの作品を上演してみて何を感じますか?

ーイランでも同じでしたが、いつも心配しているのは、難しくて、解らないからという理由で観客と関係を持てないのではないのか、ということです。イランでの公演では、そうした恐れはあったけれど、思った以上に観客に伝わりました。言っていないことまで伝わっていました。その後2年間この作品は世界各地で上演されたけれど、私は兵役中で海外公演に一度も参加できませんでした。だから、この東京公演が、海外で観た初めての経験です。日本の観客には、イラン的なデティールは解らないかもしれませんが、登場人物の感情やフラストレーションといった人間的なものは十分伝わっていると思います。実際に、何人かの方からそうした感想も聞きました。私が観ていて面白いと思うのは、軽く笑ったりする場面など、日本の観客もイランの観客も同じ反応をすることです。

今回は、膨大なペルシャ語台詞量とそのスピードから、演出家自ら日本語字幕のオペレーションされています。実際にやってみての感想はありますか?

ーこの経験はとても新しい経験でした。今回は作品の性質上、字幕のオペレーションは演出家である自分しかできないと思っていました。けれど、やってみたら、自分は演出家だからオペレーションをしながら、どうしても役者の動きを追って見てしまう(笑)そうしたことも含めて、まったく新しい経験でとても面白いです。

今日、日本でのラストパフォーマンスに向けて期待することは?

ー役者の演技です。初めての海外公演に参加して、毎日本番を見ながら、役者に驚かされます。ベンチに静かに座っている状態から、瞬間的に感情を表し、そのテンションに入れる彼らの演技のうまさに驚いています。

最後に、今回はとてもイラン的なテーマの作品をイラン人の役者と作り上げました。もし日本の役者とコラボレーションするとしたらどんなテーマ、作品を選びますか?

ーもし、日本人の役者と作品を作るとしたら、古典を、シェイクスピアを選びます。2009年に平田オリザさんや日本の役者と舞台を作ったとき、何度稽古をしても彼らが毎回実直に正確に演じることに驚きました。イラン人の役者は即興が好きだからいつも何かしら演技を変えます。そうした役者たちとシェイクスピアのような作品を作ることは難しいので(笑)

ありがとうございました!