マレビトの会 『福島を上演する』
作・演出: マレビトの会
11/17 (木) ─ 11/20 (日)
会場にしすがも創造舎
日程11/17(木) 19:00★
11/18(金) 19:00★
11/19(土) 15:00★
11/20(日) 15:00★
受付開始は開演60分前、開場は15分前

※各回上演内容が異なります。
アイダミツル、神谷圭介、松田正隆、三宅一平、
山田咲による複数の戯曲を上演します。
詳細はこちら

★=終演後、ポスト・パフォーマンストークあり
上演時間105分(予定)
一般前売自由席(整理番号つき) ¥3,500 (当日+500円)
先行割引¥2,500
5演目セット¥2,800
3演目セット¥3,000
学生 ※当日券共通。当日受付で要学生証提示¥2,300
高校生以下
※当日券共通。当日受付で要学生証または年齢確認可能な証明書の提示
¥1,000
※4回セット券あり。
 また、3演目、5演目セット券での複数選択可。
 F/Tチケットセンターのみ取扱い。

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spac Pamphlet当日パンフレット(PDF)

複数のドラマが立ち上げる、福島の「いま」に映るのは――

 作家・松田正隆の故郷・長崎に取材した『声紋都市-父への手紙』(F/T09春)、韓国人被爆者への取材を題材にした『HIROSHIMA-HAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会』(F/T10)など、未曾有の体験を経た都市の過去と現在を複眼的に捉え、再構築してきたマレビトの会。F/T12で上演された『アンティゴネーへの旅の記録とその上演』に続き、福島に向き合う本作は、2013年から3年間にわたって、長崎を対象に展開したプロジェクトの延長線上にある。複数の作家が一つの都市を取材し、執筆した戯曲群を、ごくシンプルな空間で上演するその試みは、何気ない日常の風景を「ドラマ」として切り取り、それらの集積を通じて、対象とする都市に固有の時間/歴史を探り出そうとする。震災から5年。4日間4公演にわたる複層的な上演がかたちづくる、福島の「いま」に映し出されるのは――。現実を前にした「ドラマ」の意義をも究める実験が、ふたたび始動する。


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上演に関するお知らせ
・本作品は1公演につき、複数の書き手による複数の戯曲で構成されています。
・4日間、4公演全体で1つの作品というコンセプトのもと、各回、上演される戯曲・構成が異なります。
・上演される戯曲・構成は、こちらで発表しています。

「福島を上演する」は「長崎を上演する」から続く長期プロジェクトです。
マレビトの会 公式ホームページ
Archiveより「長崎を上演する」の戯曲・構成、写真がご覧いただけます。

★=ポスト・パフォーマンストーク ※その公演のチケットをお持ちの方は日時を問わず入場可(ただし終演後)
11/17(木)19:00の回  ゲスト 松田正隆×横堀応彦(F/Tプログラム・コーディネーター)×マレビトの会プロジェクトメンバー
11/18(金)19:00の回  ゲスト 松田正隆×西尾佳織(劇作家、演出家、鳥公園主宰)
11/19(土)15:00の回  ゲスト 松田正隆×槻橋修(建築家、神戸大学工学部准教授、ティーハウス建築設計事務所主宰)
11/20(日)15:00の回  ゲスト 松田正隆×長島確(ドラマトゥルク、翻訳家)

アーティスト・プロフィール

マレビトの会

2003年、舞台芸術の可能性を模索する集団として設立。代表の松田正隆の作・演出により、2004年5月に第1回公演『島式振動器官』を上演する。2007年に発表した『クリプトグラフ』では、カイロ・北京・上海・デリーなどを巡演。2009, 10年に被爆都市である広島・長崎をテーマとした「ヒロシマ―ナガサキ」シリーズ(『声紋都市―父への手紙』、『PARK CITY』、『HIROSHIMA―HAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会』)を上演。2012年には、前年の3月に発生した震災と原発事故以後のメディアと社会の関係性に焦点を当てた『アンティゴネーへの旅の記録とその上演』を発表。2013年より、複数の作者がひとつの都市をテーマに戯曲を書き、その上演を行うことを繰り返し行う長期的なプロジェクトに取り組んでいる。2016年には、3年間の集大成として『長崎を上演する』を上演し、現在は福島に対象を移してプロジェクトを継続している。 「ヒロシマ―ナガサキ」シリーズ以降、集団創作に重きを置くとともに、展覧会形式での上演や、現実の街中での上演、インターネット上のソーシャルメディアを用いた上演など、既存の上演形式にとどまらない、様々な演劇表現の可能性を追求している。


Matsuda_Masataka

松田正隆

マレビトの会代表。1962年長崎県生まれ。96年『海と日傘』で岸田國士戯曲賞、97年『月の岬』で読売演劇大賞作品賞、98年『夏の砂の上』で読売文学賞受賞。2003年より演劇の可能性を模索する集団「マレビトの会」を結成。主な作品に『cryptograph』(07)、『声紋都市—父への手紙』(09)、写真家笹岡啓子との共同作品『PARK CITY』(09)、『HIROSHIMA-HAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会』(10)、『アンティゴネーへの旅の記録とその上演』(12)、『長崎を上演する』(13〜16) などがある。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。

創作コンセプト

 「ただ霊感を与え、目を覚まさせ、ものが視えるようにさせること、それしか彼はのぞまなかった」(ドゥルーズ「スピノザ」)

 このあとG・ドゥルーズは、自由にものが視えるようになるための望遠鏡について、次のヘンリー・ミラーの言葉を引用している。スピノザは望遠鏡のレンズ磨きで生計をたてていた。

 「思うに芸術家も学者も哲学者たちも、みんなあくせくとレンズ磨きに精を出しているのではなかろうか。それらすべては、いまだかつて起こらない出来事のための果てしのない準備でしかない。いつの日かレンズは完成されるだろう。そして、その日にこそ私たち誰の眼にもはっきりと、この世界の驚愕すべき尋常ならざる美しさが見てとれることだろう」

 

 この作品は、かつて突然の破局に見舞われた都市の現在の出来事をどのように演劇として上演することができるのかという問題提起のもとに創作される。マレビトの会はこれをモチーフとした「長崎を上演する」という作品を2013年から3年間にわたり創作・上演してきた。今作はその方法を継承しながらも、この上演形態そのものを生成変化させる試みである。

 前回の上演シリーズと同様に今作の方法も、戯曲を書く者たちが福島を訪れ、そこに身をおいて経験した街の光景や人々の生活等からの印象をもとにいくつかの断片的な戯曲を書き、それをリハーサルの過程を経て俳優が劇場空間において総合し上演する、というものである。

 まずはこれを手がかりとし、「福島」という新たな主題とその創作過程で起こるさまざまな出来事へ向けて、多様体であるべく私たちを開く演劇の力を生みだすことが大きな課題となるだろう。多様体であることは、舞台に立つ身体とその時空間からの私たちへの問いかけである。多様体とは、社会の既存の価値基準によって主体や様相が固定された市民の表象ではなく、顔かたちのない多数者の群れとその周りの言葉にならない時間と空間である。演劇は「見ること」と「話すこと」の組み合わせにおいて生じることである。その二つの無限の結びつきによって劇場空間が多様体へと生成変化する(=「なる」)ことを私たちの上演の目的としたい。

 「福島を上演する」の上演は、2016年11月17日、18日、19日、20日の4日間4回で行われる予定である。この4日間4公演にわたる演劇作品は、複数の書き手による戯曲をもとにした演劇上演で構成されている。4つの公演の上演構成は毎回異なる。したがって、この上演作品は、戯曲ごとで分割できるオムニバス形式の短編戯曲を羅列して上演するものではない。4日間にわたって繰り広げられる「福島を上演する」という演劇全体が一つの上演作品であり、観客が一回の上演を観るという経験は、全体の一部を垣間見ることと同時に、この福島という都市を主題とした演劇全体の時間と空間に身を持って参入することでもある。なぜなら、あらゆる都市の時間は少しも同じことを反復することなく、日々刻々と流れ去っていくものであり、私たちの上演する「福島」も同様に流動する時空間を表現しなければならないからだ。福島という都市においては、今見ている夕方の5時は、昨日でも明日でもない夕方のはずである。昨日見逃した夕方は、今日の夕方が肩代わりできない夕方であり、その夕方はこの先も二度と起こらない。でありながらも、この世界と同様に福島においても出来事は起こっている。それは反復する。つまりこれまでとは全く異なった出来事が再来するという意味で、それは反復するのである。出来事は一つの言葉で表象できない特異な事態であり、私たちが表現しようとする「福島」とはそういう出来事が集積し、繰り返される場所(時間と空間)である。それを演劇で表現することは、いまだかつて起こらなかった出来事を、劇場で起こすことでもあるのだ。


松田正隆

上演戯曲

フォトギャラリー

キャスト/スタッフ

アイダミツル、神谷圭介、松田正隆、三宅一平、山田咲
演出関田育子、福井歩美、松田正隆、三宅一平、山田咲
出演アイダミツル、生実 慧、上村 梓、佐藤小実季、島 崇、田中 夢、西山真来、濱野信太郎、
山科圭太、弓井茉那、𠮷澤慎吾、我妻直弥
技術監督寅川英司
舞台監督中原和彦
照明木藤 歩
宣伝美術相模友士郎
宣伝写真笹岡啓子

制作中村みなみ(マレビトの会)
三竿文乃、荒川真由子(フェスティバル/トーキョー)
プログラム・コーディネーター横堀応彦
制作協力森真理子、吉田雄一郎(マレビトの会)
インターン臼杵遥志、坂田佳菜女、戸田遥香
フロント運営十万亜紀子

記録写真西野正将
記録映像遠藤幹大

協力テニスコート
企画マレビトの会
主催フェスティバル/トーキョー、一般社団法人マレビト

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