ホーム / F/T12 公募プログラム / 雲。家。 / 本プログラムについて
目に見えない「国家」。その成り立ちとは−−。

雲。家。

重力/Note [日本]

構成・演出:鹿島将介
11月21日(水)~ 11月24日(土) シアターグリーン BIG TREE THEATER

本プログラムについて

創作ノート


「今は存在しないけれど、存在するにちがいない何ものかを生産する」とイェリネクが語るとき、そこには誰も出会うことの叶わなかった《演劇》が発見されることへ期待が宿っている。まるで生まれる前から埋葬されてしまったような《演劇》を内包するテクスト。それを読む/聞くことの発明、それ自体が演出であり、言葉と現在を繋いでいく再生への儀式でもある。作家が執拗なまでに言葉の冗長さを必要とした衝動への眼差し、痕跡として残された言葉/歴史への聞き方ひとつひとつを俳優とともに存在させていくことが、テクストと観客の出会いを創出することに繋がる。  「樹々はみずからの場所を去る。だがわたしたちはここにとどまる、わたしたちはここに属している。」といったテクストの言葉には、日々のなかで《日本》という場所/土地に対して〈ゆるやかな選択〉を問われている人々の生存感覚を鋭く突くものであるが、ここにもまた慎重さが問われるだろう。現在その地面すらも喪われる可能性に「わたしたち」は直面しているのだから。しかも、この実感の乏しい事態に対する対応は、完全に各々ひとりひとりの想像力と判断力とに委ねられてしまっている。そこに敢えて「わたしたち」と問いかけていこう。今はひたすら各々の居場所を問いながら「共に-在る-生を問う言葉」を尽くすしかないと考えている。

鹿島将介