迷子になるわ

プロフィール

前田司郎 劇作家・演出家・作家・俳優

五反田団主宰。1977年、東京・五反田生まれ。和光大学卒業。97年、19歳で「五反田団」旗揚げ。諧謔というより、脱力系の自然体なおかしみのある劇空間に魅力がある。五反田団は、03年に平田オリザ率いる青年団と合併、こまばアゴラ劇場を中心に作品を発表。05年に合併を解消。『いやむしろわすれて草』、『キャベツの類』、『さようなら僕の小さな名声』と3度の最終候補ノミネートを経て、08年『生きてるものはいないのか』で第52回岸田國士戯曲賞を受賞。オーディションによって選ばれた俳優17人とのワークショップを経て生まれた同作品は、理由が解らないまま登場人物全員が死んでいくという、リリカルかつユーモラスに「死」を描いた作品。舞台上に劇中で"死体"となった俳優たちが重なりあい横たわる、世界の終わりを一枚の絵にしたようなラストシーンは観る者に強烈な印象を与えた。前田の作品は「死へとどんどん近づいているのに生を積み重ねていっているような感覚で生きている人間のおかしみ」を描きだす。その作風は、現代における「ベケットの言語からも、別役実の言語からも逃れえた不条理劇」(宮沢章夫氏)と評価を受ける。
また、小説家としても数々の作品を文芸誌などに発表しており、小説『愛でもない青春でもない旅立たない』で第27回野間文芸新人賞、『恋愛の解体と北区の滅亡』が第28回野間文芸新人賞・第19回三島由紀夫賞に、『グレート生活アドベンチャー』が第137回芥川龍之介賞にそれぞれノミネート。09年5月、『夏の水の半魚人』で第22回三島由紀夫賞を受賞。映像作品のシナリオも手掛けており、NHKドラマ『お買い物』(演出・中島由貴)は田舎のおじいさんとおばあさんが東京へお買い物に行く、ただそれだけの話をゆったりとあたたかな視線で描き出すことに成功し、第46回ギャラクシー賞(テレビ部門優秀賞)、第35回放送文化基金賞(テレビドラマ番組賞)、ソウル国際ドラマ賞を受賞。

五反田団(ごたんだだん)

1997年旗揚げ。ストーリーを説明するよりも、そこにあるものをそのまま描写した世界を目指し、矛盾を矛盾のまま包括した世界をありのままに示す。舞台には最低限の道具のみを配置し、見ている物の想像力を掻き立てる。
日常にひそむおかしみや哀れさから人間の本質を描きだす独特の世界観が話題を呼び、京都、いわき、岡山など国内はもとよりベルギーのフェスティバルに招聘されるなど、活動の幅を広げている。

公演記録 2004-10年

2004年
・第27回公演『いやむしろわすれて草』 於・こまばアゴラ劇場(岸田戯曲賞ノミネート作品)
05年
・第28回公演『クリイリ(再演)』 工場見学会にて 於・東邦製作所
・第29回公演『キャベツの類』 春の団祭り2005 於・こまばアゴラ劇場(岸田戯曲賞ノミネート作品)
・第30回公演『いやむしろわすれて草(再演)』 京都・岡山を巡演
・ニセS高原から〜「S高原から」連続上演〜 於・こまばアゴラ劇場 前田司郎が演出と共にプロデューサーも兼任
06年
・第31回公演『ふたりいる景色』 於・こまばアゴラ劇場
・第32回公演『ふたりいる景色』 於・京都芸術センター フリースペース
・桜美林大学招聘公演『びんぼう君』 於・桜美林大学プルヌスホール
・演劇計画2006『ノーバディー』(ワーク・イン・プログレス公演) 於・京都芸術センター
・第33回公演『さようなら僕の小さな名声』 於・こまばアゴラ劇場(岸田戯曲賞ノミネート作品)
07年
・演劇計画2007『生きてるものはいないのか』 於・京都芸術センター こまばアゴラ劇場(岸田戯曲賞受賞作品)
08年
・NHKシアターコレクション『さようなら僕の小さな名声(再演)』 於・NHKふれあいホール
・第35回公演『偉大なる生活の冒険』 於・こまばアゴラ劇場
・第36回公演『すてるたび』 於・アトリエヘリコプター
・番外公演『〜五反田団といわきから来た女子高生〜あらわれる、飛んでみる、いなくなる。』 於・アトリエヘリコプター
09年
・『俺の宇宙船、』 於・三鷹市芸術文化センター星のホール
・『すてるたび』 ベルギークンステンフェスティバルデザール招待公演
・『生きてるものはいないのか』『生きてるものか』二本立て公演 於・東京芸術劇場小ホール1
・『動物大集会』 於・いわき芸術文化交流館アリオス小劇場
10年
・番外公演『〜五反田団といわきから来た高校生第2回〜3000年前のかっこいいダンゴムシ』 於・アトリエヘリコプター