カフェ・ロッテンマイヤー やなぎみわインタビュー(2)

実際、応募してきたのは、どのような方たちなのでしょうか。
今回
応募者の1人1人と面接したのですが、若い方からは、「おばあちゃんになってみたい」という欲求をはっきりと感じました。世間で流行しているアンチ・エイジング――つまり、いつまでも若い女子を持ち上げ、さらに年を取っても「中も外も若々しくあれ」という風潮――が女性に与える、暗黙のプレッシャーから解放されたいのでしょう。いっそのこと「おばあちゃんになればいいじゃん!」という。当然、その欲求は、かわいいおばあちゃんではない。面白いおばあちゃんや、厳格で意地悪なおばあちゃんです。
その一方で、今回の新発見は、比較的年配のおばあちゃんを素で行く方が、とにかく新しいことに挑戦しようと応募してくださったという点です。。『カフェ・ロッテンマイヤー』はおそらく日本初で、F/Tにとっても初の企画です。そして私は美術の人間で、演劇の人間でない。つまり、あらゆる点で、やってみないとわからない。そこにチャレンジしてくれるということに希望を感じました。「何だか分からないけれど面白そう」という動機で応募してくれたのは凄く嬉しかったですね。70歳を超えてもシニア劇団やNPO活動などに参加する物凄く活動的な方たちで、さらにこの「何をするかわからないもの」にまで関わってみようという飽くことなきチャレンジ精神。やる気においては負けそうです(笑)。

そんなロッテンマイヤーたちをいかにまとめているのでしょうか。
カフェの営業日には1日2回、料理ショーを催しています。その内容を全て自主性に任せたところ、ショーのためのチームは4班あるのですが、それぞれに面白いものが出来上がりました。
「My Grandmothers」も一般公募のモデルにインタビューをし、50年後の年老いた自分をイメージしてもらうことで、彼女たちのアイデアを借りた共同制作ではありますが、他の作品はこれまで比較的自分の思う通りに作ってきました。
そう考えると、美術作品は個人の表現で、とりわけ写真や映像作品などは1人の作家のコントロール下に置かれやすい。もちろん、最終的な着地点を人に委ねたり、成り行きに任せるタイプの作家もいますが。私が大学で専攻していた工芸というのは特にそうで、きちんと着地点が見えないといけなかった。

演劇的なものというのは、その逆です。演出家にも完全にコントロールしたい人もいれば、そうじゃない人もいるでしょう。しかし、やはり扱うのが「人間」という「ナマモノ」なので、寸分違わずイメージ通りに出来上がることはまずないでしょうし。とはいえ芸術作品において、もしそういう奇跡的なことが起こったからといって、それがおもしろいかは分からない。

......そういう点で、今回はかなり楽しんでやっています。

チケット

カフェ: 入場無料(1ドリンク制)

演劇公演: 1,000円(整理番号、1ドリンク付)
当日13:00〜 F/Tステーションにて販売します

公演スケジュール

カフェ・ロッテンマイヤー営業日
10月30日(土)、31日(日)、11月6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日)、20日(土)、21日(日)、23日(火・祝)、27日(土)、28日(日)の12:00-22:00

演劇公演:11月23日(火・祝)、27日(土)、28日(日)
開演時間:18:00(開場は開演の15分前)
※当日は17:00から、カフェおよびF/Tステーションは閉店しますのでご注意ください

アクセス

東京芸術劇場 フェスティバル/トーキョー会場
東京芸術劇場前 F/Tステーション内

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1丁目8番1号
JR山手線・JR埼京線・東武東上線・西武池袋線・東京メトロ丸の内線・有楽町線
池袋駅西口より徒歩2分