演劇/大学09春
上演作品について 演劇/大学09春

A 桜美林大学 『トップガールズ』
B 京都造形芸術大学 『その娘は翔ぶ娘ではないにしても』
C 近畿大学 『少女仮面』
D 東京藝術大学 『プロゼルピーナ』

A 桜美林大学 総合文化学群演劇コース

『トップガールズ』(大学初演:2009.1.24-29/桜美林大学プルヌスホール)

1982年ロンドンにて初演。日本では1983年と1992年の2回上演されている。作者のキャリル・チャーチルは1938年ロンドン生まれ。79年に発表した「クラウド9」でセンセーショナルな話題を呼ぶ。幕開きは、現代のキャリア・ウーマン、マーリーンの昇進祝いのパーティである。ところがそこに集まってくるのは、過去の数奇な生涯を生きた女性達、時代も国境も越えて、それぞれの人生を語り合う。その後は現代に戻り、社会の中での女性の立場がさまざまな角度から描かれる。終幕、マーリーンと姉ジョイスの壮絶なバトルは、現代を生きる全ての女性の葛藤が終結され、その鋭い問いかけは、私達の胸を揺さぶらずにはおかない。

高瀬久男演出:高瀬久男(桜美林大学准教授/演出家)
1957年、山形県米沢市生まれ。文学座演出部所属。91年より1年間、文化庁在外研修員としてロンドンにて研修。2001年「リタの教育」「マイシスター イン ディス ハウス」により読売演劇大賞優秀演出家賞、02年「モンテクリスト伯」「スカイライト」で芸術選奨文部科学大臣新人賞、03年「スカイライト」「アラビアンナイト」で毎日芸術賞(千田是也賞)など受賞多数。現在、桜美林大学総合文化学群演劇コース准教授として後進の指導にも力を入れている。

作:キャリル・チャーチル
出演:(演劇コース在校生)
尾留川藍、菊池佳南、市原佐都子、秋山友香、池口舞、伊藤安那、中村友美、福田絵里、伊藤里世

B 京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科

『その娘は翔ぶ娘ではないにしても』(大学初演:2009.1.30-31/京都芸術劇場studio21)

ベケットのテレビ映像『クワッド』にヒントを得、互いの対話を通して、それぞれに内在するイメージやムーブメントを発見し、共有し、育て作った作品。陥りがちな「等身大」の表現からどれだけ自由になれるか。他者の身体を鏡にして、あそことここがいきなり繋がり、繋がっていたものが突然切断され、あるいは予想できない歪みが生じることに驚きながら、言葉と身体が往復する不断のプロセスの先に、ダンスが生まれることを願った作品である。

山田せつ子コンセプト提示・構成:山田せつ子(京都造形芸術大学教授/舞踊家・振付家)
大学在学中から笠井叡の「天使館」で舞踏を学んだ後、ソロダンス活動を展開し、日本のコンテンポラリーダンスの先駆けとなる。1989年よりダンス・カンパニー枇杷系を主宰し、『愛情十八番』『翔ぶ娘』などを発表。最近の作品に『奇妙な孤独』『ふたり いて』など。京都造形芸術大学においては2年間に渡って、ジャン・ジュネ作品をテキストにしたダンスの試み『恋する虜 ジュネ/身体/イマージュ』を企画する。著書に『速度ノ花』(五柳書院)。

テキストアドバイス:森山直人(京都造形芸術大学准教授)
振付・出演:(映像・舞台芸術学科在校生)
穐月萌、内海美佳、河野早紀、倉田翠、濱地真実、松尾恵美、山本早織、和田ながら

C 近畿大学 文芸学部芸術学科舞台芸術専攻

『少女仮面』(大学初演:2008.11.14-16/近畿大学学生会館 日本橋アートスタジオ)

1969年に唐十郎が初めて状況劇場以外の劇団、鈴木忠志が主宰する早稲田小劇場のために書き下ろした一幕劇。1970年、第15回岸田國士戯曲賞を受賞。この受賞は新劇界に波紋を投じ、論争が繰り広げられた。宝塚歌劇の大スター「春日野八千代」を自称する女が経営する地下の喫茶店<肉体>で展開するこの劇は、俳優の肉体論=「演技論」の物語である。

唐十郎作・演出:唐十郎(近畿大学特任教授/劇作家・演出家)
1940年、東京都生まれ。明治大学文学部演劇科卒業。63年に劇団状況劇場を結成。67年に『腰巻お仙-義理人情いろはにほへと編』を紅テントで上演して以来、テント公演を中心に演劇活動を行う。現在、劇団唐組座長。劇作家、演出家、小説家、俳優として活動を続ける。『海星 河童』(78)で泉鏡花賞、『佐川君からの手紙』(83)で芥川賞、『泥人形』(03)で読売文学賞、紀伊国屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞を、06年には読売演劇大賞芸術栄誉賞を受賞。97〜04年、横浜国立大学教授。05年より近畿大学客員教授。現在、近畿大学国際人文科学研究所所長。

出演:(舞台芸術専攻在校生+卒業生)
久保田友里、松山弓珂、中田有紀子、難波有、小林徳久、藤波航己、青山哲也、ほか
指導教員:松本修(近畿大学准教授)

D 東京藝術大学 音楽学部音楽環境創造科

『プロゼルピーナ』(初演:2008.8/利賀スタジオ)

―春の女神― 天界で花を摘んで暮らしていたプロゼルピーナは、ある日突然冥王の手によって連れ去られ、冥界の妃となった。母親である豊穣の女神は悲しみ、以来地上に恵みをもたらすことをやめてしまった。毎年プロゼルピーナが天界に帰省すると再び歓びが満ち溢れ、地上に<春>が訪れると言われている。 1776年、ドイツの文豪ゲーテが27歳のとき、このギリシア神話をもとに著した独白劇。200年以上の時を越え、現代の東京に死後の世界の神話を再構成した新演出『プロゼルピーナ』は、2008利賀演劇人コンクールで評価を受け、東京での再演を望まれていた。

坂田ゆかり演出:坂田ゆかり(東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科4年)
1987年東京生まれ。幼少より作曲を始める。YAMAHA Junior Original Concert4回入選。大学入学後より舞台空間で人間が生きるアートを目指し、アートユニットEUCALYPTUSを結成。若いアーティストとの共同制作を多く試み、演劇・ダンス・音楽の枠にとらわれない舞台表現を模索している。主な演出作品は『班女』(2007)、『BOMBSONG』(国際ドラマリーディングフェスティバル・2008)、『プロゼルピーナ』(利賀演劇人コンクール2008)。

原作:ゲーテ
出演:音楽環境創造科、器楽科、美術学部絵画科在校生および卒業生
指導教員:市村作知雄(東京藝術大学准教授)