あかりのともるかがみのくずアーカイブ

初めて観た黒田育世の舞台は、2009年の「花は流れて時は固まる」である。普段、演劇はよく観るものの、舞踊はあまり観る機会がなく黒田育世の存在をそれまで知らなかった。しかし私にとって、黒田育世との出会いはとても衝撃的なことだった。舞踊という形式に慣れていないということがその理由の一つであるとも思うが、最も大きな理由として、舞台芸術には珍しく、少女のままでいたいという女性の苦悩が描かれていたからだ。舞台上には、男性から性的な対象として見られる存在として苦しむ女性や、自己の性的な事柄と対峙しなければならず苦悩する女性の姿があった。その姿を観て、私は深く共感をした。なぜなら、私もまた少女のままでいたいと願う女性だからである。