劇評

不変の価値

F/Tで上演された各作品、企画についての劇評アーカイブです。
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倫理の動物、動物の倫理――シニシズムへの態度


 2012年のフェスティバル/トーキョー(F/T)のテーマは「ことばの彼方へ」であったが、上演された八割方の作品を観て、あらためて振り返ったときに、例年よりもテーマを意識したと思われる作品が多かったように感じた。

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「価値の在処は明らかにしてくれた、しかし......」

上演の構成は、大まかに言って前半と後半に分けられる。
前半では、まず観客に500円玉を1枚ずつ配った上で、「その500円を払えば好きなように演出を付けられる」旨が説明される。俳優は、あらかじめ用意された短い台本を、観客からの指示を反映させつつ演じるのだ。やがて別の俳優たちも舞台に登場して「自分にもやらせてほしい」「こっちは2人で500円にします(*1)」等とアピールし始め、結局は3人で演技を競い合う。もっとも、指示が10、20と増えてくると、中には相互に矛盾するものや、いわゆる「無茶振り」も交じってくる。当然ながらこなしきれずに失敗したり、時には俳優同士で相談してまで指示に応じようとする姿は笑いも誘うが、観客の要求がどこまでエスカレートするのかという緊張感も付いて回る。

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